Victoriano騒動から色々考える

 最近、ずいぶん色んなショップに「ヴィクトリアーノ」というアピストが入っている。どうみてもApistogramma atahualpaなんだが。ここ、を見るとVictorianoがアタフの一タイプとして紹介されているが、Victorianoが何を意味する単語なのかは判らなかった。ただし、他の複数の海外のサイトでVictorianoがsp.扱いされていた。

 ちなみにsp.とは「~の一種」の意味であり、種の同定に確証が持てない時に「Apistogramma属の一種だけど、種が何であるのかはわからない」という時に用いる。ネット上では「sp.もの」という言葉で未記載種を指していることがある。使い方そのものは間違っているとまでは言わないけれど、sp.表記に対する認識は恐らく間違っているのだと推察する。sp.には「~の一種」という意味しか無いことも一応知っておいて悪いことはあるまい。sp.にはそんな意味しかないから、私がアガシジー(だと認識される個体)を見て、Apistogrammasp.だと言ってもこれは間違いではないし、私は記載論文をみながら学術的にアガシジーを同定したことなどないのでこれはむしろ正しい態度だとも言える。Victorianoについても同様に記載論文をみて作業をしない限り、Apistogramma atahualpaかどうかは判らないわけで、ショップはひょっとしたらそういう慎重な姿勢をとっているのかもしれない。

 そうかもしれないのだが、やはり私はそうは思わないな。新しいもの好きの心理を利用してより売れやすいようにしよう、という心理が垣間見えるような気がする。前にも書いた気がするけれど購入者に観察眼がないことを悪く言うつもりは私には全く無い。そこはやはりプロとしてのショップに責任があり、知っててやっているのであれば最悪だが、知らないにしても大きな責任があるだろう。「騙されたんだよ」なんで初心者が言われてアピから心が離れる様子を想像すると心苦しい。

 最近学名がついた種類に関しては併記するのが望ましいと思う。もちろん、未だにロートプンクトやホワイトシーム、インカ50などが店頭に並んでいるわけだが、これらに関しては大きな問題はないだろう。むしろ、学名がついた直後に「アピストグラムマ アラクリナ 新種」と販売店の水槽に書くほうが問題がある(そんなケースに出会ったことはないけど)。この場合の新種というのは、間違いではない。新種というのは記載された種に対する呼び名であり、多くの人が「新種」と認識している存在は「未記載種」と呼ばれるべきものだからだ。しかし、趣味的には「新種」と呼ばれると「新入荷の今までに知られていなかった種類」と認識される。これに魅力を感じる人も多いと思う。ショップがこういうことを判っていてやったら詐欺みたいなものだろう。未記載種についた複数の呼び名の場合、やはり一般に呼ばれなれたものを使うのが好ましいと思う。前も書いたかもしれないが、「ウリアス」は国際的にはあまり通じないが、かといって「ハーレクイン」とショップが呼びなおすのは混乱を招くだけだと思う。

追記:結局Victorianoの出所はちょっと調べただけでは判らなかったものの、一つ副産物的に知らなかったことが判った。ここを読むと、

Although this is widely considered a cacatuoides-group fish, Römer sites a possible connection of this fish to A. linkei, which is a commbrae-group fish.

とある。おいおい、記載者がそんなことをスペキュレーションで言っていいのかよ。確かに黄色いけどさ。私はRömer がどんな人か知らないけど、大丈夫なのかい。ただ、atahualpaっていう種小名はお気に入りで、その点に関しては私は彼のファンである(言い過ぎか)。少なくともあの素敵なアピストに「黒尻」と名付けるセンスよりはずっといい。

 
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by kentama0318 | 2005-10-23 23:26 | アピスト


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